1.複数回の住所移転をしている場合

2.複数回の住所移転後に登記簿上の住所に戻った場合

3.共有者の住所移転の場合の申請人

4.記原因が複数の場合(住居表示実施、錯誤)

1.複数回の住所移転をしている場合

登記簿上の住所から複数回の住所移転をしている場合、その全ての住所移転の経緯が分かる住民票、戸籍の附票等を添付することで、直接現在の住所への登記名義人住所変更の登記をすることができる。そして、この場合の登記原因の日付は、最後の住所移転の日付である。

登記簿上甲市居住の所有者が乙村に住所を移転し、更に丙市へ住所移転している場合において、住所変更の登記をするには、甲市から乙村へ及び乙村から丙市への住所移転を証する書面を添付して直接丙市への住所移転の登記をすることができる。この場合の登記原因及びその日付は、最後の住所移転及びその日付である(登研109号)。
登記名義人の表示の変更が数回にわたってなされている場合には、1個の申請により、直ちに現在の表示に変更の登記をすることができる。なお、この登記を申請するには、申請書に、登記原因及びその日付を併記し(ただし、同種の登記原因(例えば、住所移転が数個存するときは、便宜その最後のもののみを記載してもさしつかえない。)、各変更を証する書面を添付するのが相当であり、登録税は、1件として徴収すべきである(昭和32年3月22日民事甲423)。

2.複数回の住所移転後に登記簿上の住所に戻った場合

自宅不動産を購入した後に、転勤により引越をし、その後、再び不動産所在地に戻ってきたような場合、登記簿上の住所と現在の住所とが同一であるのに登記名義人住所変更の登記をする必要があるのか。この場合、住所移転による登記名義人表示変更の登記は申請する必要がない。

登記簿上の住所と印鑑証明書の住所とが一致しているのだから、登記名義人住所変更登記の要否を検討する必要すらないようにも思えるが、住民票の記載から住所移転していることが判明してしまう場合などに、名変が必要であるかとの疑問が生じる。

住所移転が数回にわたって行われた後、登記簿に記載されている住所に戻った時には、住所移転による登記名義人表示変更の登記は申請する必要がない(登研379号)。

3.共有者の住所移転の場合の申請人

登記簿上の住所が同一である共有者が、同時に同一の場所に住所移転した場合、その登記名義人表示変更登記は同一申請書により一括申請できる。しかし、その登記をする際には、共有者の全員が申請人となる。

たとえば、抵当権抹消登記の場合には、共有者の1人が登記権利者となり保存行為として申請が可能だが、登記名義人住所変更については共有者の全員が申請人になる必要があるということ。

登記簿上の住所が同一である共有者のA・Bが同時に同一の地に住所移転した場合における登記名義人の表示変更登記は、同一申請書により申請が認められているが、その申請人につき、A・Bいずれかの単独による申請によることはできない(登研440号)。

登記簿上の住所が同一(同一世帯)である場合、共有者の甲、乙、丙が区画整理に伴う町名地番変更により新住所に変更登記を申請する場合、共有者の1人からの登記申請代理の授権を受けるのみで、共有者全員の表示変更登記を申請することはできない(登研458号)。

4.登記原因が複数の場合

住所移転と、住居表示実施があった場合、登記名義人住所変更の登記は1件の申請により一括申請できる。この場合の登記原因は、「年月日住居表示実施」、「年月日住所移転」と併記する。

登記名義人の住所移転による変更と住居表示実施による変更の登記申請は、1個の申請によりすることができる(昭和40年10月11日民事甲2915)。

登記名義人の住所が住居表示及び住所移転により変更となった場合における登記名義人の表示の変更の登記の登記原因は、「年月日住居表示実施」、「年月日住所移転」と併記すべきである(登研370号)。

住所移転の後に、区制施行などの地番変更を伴わない行政区画の変更が行われている場合の登記名義人住所変更の登記をするときには、登記原因を「平成○○年○○月○○日住所移転、平成○○年○○月○○日区制施行」とする。

登記名義人が登記記録に記録された住所から他の住所に移転した後、当該移転後の住所について区制施行などの地番変更を伴わない行政区画の変更が行われた場合の登記名義人の住所の変更の登記を一の申請でするときは、その登記原因を「平成○○年○○月○○日住所移転、平成○○年○○月○○日区制施行」とする。当該登記の申請の添付情報として、当該行政区画の変更に係る市区町村長等の証明書が提供されたときは、登録免許税法第5条第5号の規定により登録免許税は非課税となる(平成22年11月1日民二2759)。

登記名義人の住所に錯誤がある場合に、その後、住所移転をしているときの登記名義人住所変更の登記では、登記原因を「錯誤」及び「年月日住所移転」と併記する。

所有権の登記名義人の住所に錯誤がある場合において、その後に住所の移転があったときの登記名義人の表示変更を併せて1個の申請によりするには、申請書に登記の目的として、便宜、「所有権登記名義人表示変更」とすることができ、登記の原因は「錯誤」及び「年月日住所移転」を併記する(登研547号146頁)

登記名義人住所変更の登記原因が、「住所移転 → 住居表示実施 → 住所移転」のように数個生じた場合、登記原因の日付は「年月日住居表示実施、年月日住所移転(最終の住所移転の年月日)」のように、登記原因の種類ごとに最終の年月日を記載して差し支えない。

登記名義人の表示の変更の登記原因が、(1)昭和年月日住所移転」、(2)昭和年月日住居表示実施、(3)昭和年月日住所移転と順次数個生じた場合の登記原因及びその日付の記載は、昭和年月日住居表示実施、昭和年月日住所移転(最終の住所移転後の住所)のように、各種類ごとに最終の事由とその年月日を記載して差し支えない(登研381号)。
所有権登記名義人の住所について、同一日付をもって町名変更・地番変更がされている場合の登記名義人の表示変更登記の登記原因は「平成何年何月何日町名変更、地番変更」のように併記する(登研524号)。

下記のように住所が変更になっている場合の登記名義人住所変更の登記をするときは、登記原因を、最後にしたBへの住所移転及びその日により「年月日住所移転」として申請することができる。

(1) 住所Aから住居表示実施により住所Bに
(2) 住所Bから住所移転により住所Cに
(3) 住所Cから住所移転により住所Bに

これは下記の質疑応答にある事例ですが、その他の質疑応答や先例によれば、登記原因は「年月日住居表示実施」、「年月日住所移転」と併記すべきであるはずです。しかしながら、この事例では、最後にしたBへの住所移転により、元々の住所であったB(住居表示実施前はA)に戻ってきているため、とくに住居表示実施による変更事項の記載を省略できるということなのでしょうか。

しかしながら、住所Aから住所Bへの変更は、住居表示実施によるのであり、住所移転が原因ではありません。それにもかかわらず、住所Aから住所Bへの登記名義人住所変更の登記原因を「年月日住所変更」とするのには違和感があります。

所有権の登記名義人の住所がAとして登記されているところ、住居表示の実施により住所がBとなり、その後当該登記名義人がCに住所の移転をした後、Bに住所の移転をした場合における登記名義人の住所の変更の登記は、変更の順に従って順次「住居表示実施」、「住所移転」、「住所移転」を原因として各別に申請するほか、中間の「住居表示実施」及び「住所移転」を省略し、登記原因及びその日付を、最後にしたBへの住所の移転及びその日により「年月日住所移転」として申請することができ、この場合の登録免許税は、登録免許税法5条4号により非課税とすることはできない(登研744号)

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